思想史・芸術史(博士/京都大学)
この講座では、哲学の基礎を学びながら読解力・思考力・表現力を総合的に高めていきます。
日本の教育課程では、高校の「倫理」を除いて、哲学史や思想史を体系的に学ぶ機会はほとんどありません。しかし、物事を徹底的に吟味し、言葉で事象を突きつめていく哲学ほど、読解力や思考力の訓練にふさわしい学問はありません。この講座では指定の教科書に沿って哲学の基礎と歴史を学びつつ、毎回出題される自由記述型の問題に答えていくことで、「読む」「考える」「書く」という3つの力を実践的に身につけていきます。
問題の回答は毎回講師が添削し、そのフィードバックをもとに書き直し、再提出してもらいます。一度書いたものを改めて見なおし、書きなおすプロセスは、自分の文章を客観的にとらえる機会となり、文章力を高める上で非常に効果的です。この過程を繰り返すことで、文章力は飛躍的に向上していきます。それによって得られる力は、受験対策にとどまらず、一生の力として残っていくものです。
読解力・思考力・表現力は、あらゆる学び・学科・学問に共通する基盤であると同時に、他者とのコミュニケーションや自己省察においても欠かせない、生きるための力そのものです。哲学を通じて是非ともこの力を高め、自分自身の考える力を深めていきましょう。
ナイジェル・ウォーバートン『若い読者のための哲学史』月沢李歌子訳、すばる舎、2018年
著作権の都合上、テキストについては各自でご準備ください。
授業1回で1章分の内容を扱います。
1章の分量ははおおよそ6〜8ページで、内容も初心者向けに書かれており、過度な負担なく学習を進められます。
哲学に興味のある中学生、高校生、大学生、一般の方
基礎的な読解力・文章力を高めたい中学生、高校生
小論文や自由記述型の試験がある大学受験生
倫理・公共で共通試験を受ける大学受験生
人文系の分野で大学院受験を考えている人
授業は隔週で行われ、毎回の授業につき以下のサイクルを繰り返します。
1. 事前学習
授業前に、次回扱う章に関する記述型の読解問題を出題します。文章を正確に読み取り、要点を的確にまとめる力は、理解力・思考力・表現力の土台となるものです。まずは教科書の読解を通して基礎力を高めていきます。
2. 授業
事前問題に取り組んだうえで授業に出席してください。教科書の確認や補足、さらには思想史的に重要な事柄について解説します。
※授業はGoogleミートを使ったオンライン授業です。受講者に授業への参加URLをお知らせします。
※授業は毎回アーカイブを残します。リアルタイムで参加できない場合も、見逃しなく受講できるほか、アーカイブ動画を使って復習することも可能です。
3. 課題:授業後に出される問題(自由記述型)に回答し提出
授業後、教科書と授業の内容に関連する自由記述型の論述課題を出題します。ここで出題される課題には、明確な答えがあるわけではありません。答えのない問いに向き合いながら、自分なりに考え、意見を組み立てて文章にしてください。
自分の考えを論理的に構築する力は、一朝一夕には身につきません。まずは自分の力でできる限り書いてみましょう。
4. 課題の再提出:自由記述問題の添削が返ってきたら修正して再提出
提出された課題には日本語表現、論理展開、内容の妥当性など複数の観点からコメントをつけて返却します。コメントを確認し、修正したものをもう一度提出してください。プロの文筆家であっても、最初から完璧な文章を書くわけではありません。何度も推敲と修正を重ね、全体の構成や論理をととのえながら完成度を高めていきます。この書きなおしをするプロセスによって、文章力を高めていきましょう。
※提出された課題は、最短翌日、遅くとも1週間以内に添削して返却します。
※課題の出題・回収・添削はすべてGoogleクラスルームにて行います。
Googleクラスルームの使い方について下記をご参照ください。
https://disseminer.notion.site/RA-TO-Google-1ce2af33148180fb897ae9a4695f2749
隔週土曜日 17:00〜18:30
[2025夏秋]講座の授業日と、内容は下記となります。
第1回(8/9) 第10章「下品で野蛮で短い」(ホッブズ)
第2回(8/23) 第11章「これは夢なのだろうか」(デカルト)
第3回(9/6) 第12章「賭けてみよ」(パスカル)
第4回(9/20) 第13章「レンズ磨き職人」(スピノザ)
第5回(10/4) 第14章「王子と靴直し」(ロック)
第6回(10/18) 第15章「部屋の中のゾウ」(バークリー)
※授業は毎回アーカイブを残します。リアルタイムで参加できない場合も、見逃しなく受講できます。アーカイブ動画を使って復習することも可能です。
※お申し込み状況等によって授業予定日は変更になる場合があります。
1. お申込みフォームに必要事項をご記入の上送信
2. RAÏTOから送付されるお支払い情報を確認
3. お支払い後、Googleクラスルームに参加いただき、課題を確認
4. 授業時間になったらクラスルームから、ミートに参加
5. 授業後の課題を確認、提出
事前問題
教科書の第9章を読んで以下の問いに答えてください。
1. マキャベリが重要視した「ヴィルトゥ」とはどういうものか、具体例を挙げながら400字程度で説明してください。
2. マキャベリが理想と考えていた統治者はどのような人物だったか。「キツネとライオン」の比喩にも言及しながら400字〜600字程度で記述してください。
授業後の課題
哲学と自然科学はどのように関係することができるだろうか。授業で扱ったエピクロスの例を挙げながら、あなたの考えを400〜800字程度で記述してください。
※絶対的な回答はありません。受講者自身の考えを論理的・説得的に展開できているかを基準に添削します。それによって、自分自身の思考を深め、それを表現する力を高めます。
小論文対策や自由記述型の試験対策としても最適です。
やる気のある中学生や大学生・一般の方もご参加いただけます。
思想史・芸術史(博士/京都大学)
1985年仙台市生まれ。2009年京都大学総合人間学部卒業。2016年京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。
大学院修了後、早稲田大学、関西大学等で非常勤講師。2023年、オンラインでの人文学教育プラットフォーム「ディセミネ-disséminer-」開始。
著書に『ドゥルーズと多様体の哲学』(2017年、人文書院)がある。
Q:途中参加の場合でも全授業のアーカイブを見ることはできますか?
A:はい、途中参加の場合も、アーカイブ動画をすべて見ることができます。
Q:途中参加でも、全課題添削してもらえるのですか?
A:はい、途中参加の場合でも、課題の添削をいたします。